不動産業界には「先物」という言葉があります。これは、投資で使われる先物とは違った意味です。いったい、どのような意味なのか見ていきましょう。
●不動産における先物とは?
先物とは、オーナーから直接「入居希望者を見つけてほしい」と依頼を受けた物件ではなく、「不動産業者から依頼を受けた物件」のことを言います。
●先物の具体例
オーナーが「○○マンション」を所有していて、入居者を探していたとします。
そこで、オーナーは、不動産業者「A」に「○○マンションの入居者を探してほしい」とオーダーしました。
不動産業者「A」は、「○○マンション」の情報を他社の不動産業者「B」にも紹介して、共有することにしました。
この時、不動産業者「B」からすると、「○○マンション」のことを「先物物件」というのです。
ちなみに、不動産業者「A」からすると、「○○マンション」のことを「直物件」と呼んでいます。
●なぜ先物物件が生まれるのか?
先物物件が存在するロジックは、先ほど説明した通りです。
どうして、不動産業者「A」は自社だけで入居者を探すのではなく、不動産業者「B」にも情報を共有するのでしょうか?
それは、以下のような事情があるからです。
・早く空室を埋めたいオーナーの要望に応えるため
オーナーの知り合いに部屋を借りたい人がいた場合は、オーナーは不動産業者に「入居者を探してほしい」と頼む必要はありません。
しかし、そう上手くいかないのが実情なので、オーナーは、不動産業者「A」に「空室を埋めたいから入居者を探してほしい」と依頼を出すのです。
不動産業者「A」でも入居者探しはしますが、ここでもなかなか入居者が見つからない場合もあります。
オーナーが「なるべく早く空室を埋めてほしい」と希望している場合は、不動産業者「A」は不動産業者「B」に「この物件、うちでも紹介してるんだけど、そっちでも紹介してくれない?」と協力を仰ぐのです。
先物物件が存在している背景には、このような事情があります。
・先物物件の取り扱いは1社とは限らない
一刻も早く入居者を見つけたい場合、先物物件は複数の不動産で共有されます。
そのため、入居希望を申し出るお客様がいても、ニアミスで他の不動産業者で決まってしまう場合もあるのです。
先物物件は、オーナーからすると少しでも早く空室が埋まるメリットがありますが、入居希望者からすると空振りするデメリットがあります。
●まとめ
今回は、不動産業界における先物に焦点を当てました。投資の分野とは明らかに意味が違うことが分かりましたね。
このような事情を知っておくと、私たちが物件探しをする時に「この部屋は先物なんだな」と分かるようになり、お部屋探しが楽しくなるのです。